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【実録】ボンボネーラ、ニセチケットをつかまされた!

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ミスが続く時は続くもんだ。南米疲れだろうか。まず、ボカジュニアーズの試合日時を間違えてしまった。サッカーファンなら、死ぬまでに一度は行きたい聖地ボンボネーラ。そんな夢のスタジアムを目の前にしてのケアレスミス。ボーッと何となく8月11日と把握していたが、何とそれは日本時間だったという失態。ブエノスアイレスに前日入りのつもりが、当日入りになってしまった。まあ、11時にウルグアイ、コロニア・デル・サクラメントのドミトリーをチェックアウトしたので、計算では18時30分のキックオフには間に合う。

ところが、フェリーターミナルヘ行くと、ドミトリーで聞いていた11時45分のブエノス・アイレス行きのフェリーがない。何と16時30分までないという。3社のフェリー会社から一番安いのを選んでチケットを購入(たいてい国際航路のゲートクローズが出港の1時間前なのでいずれにしても間に合わなかったが)。

5時間ほど待たないといけなくなってしまった。急遽、ボンボネーラに近い宿を予約したり、偶然ターミナルで出会った日本人の旅行者に「ヤミ両替」の方法を伝授してもらい、慌ててターミナル内のATMで米ドルキャッシュを用意したり。当座のアルゼンチン・ペソを日本円(2,000円→182ペソ)とユーロ(10ユーロ→125ペソ)で両替したり(フェリーターミナルで可)。後から考えるとこの最低限の緊急両替は大正解。これでもかなり損している。無造作に1万円を両替していたら、大変なコトになっていた。

グーグルマッブを睨みながら、港から宿へ、宿からボンボネーラへのルートをイメージする。フェリー自体は一時間ほどで、ブエノスアイレスの港に着く。といっても入港にモタモタしたり、出るのに待たされたり、セキュリティチェックで荷物を調べられたり。なんだかんだ、外に出られたのが17時45分。キックオフまであと45分しかない。

即タクシー乗り場に乗り込む。10分程度で、Mantengase Hostelには着いたと思う(TAXI 25ペソ)。チェックインの手続き、スタッフの親切な説明、荷物の部屋への搬入、全てがもどかしい。宿泊代100ペソを払い、宿を出てタクシーを拾えたのが18時10分。残り20分。10分前には着けるはずが、微妙に渋滞にハマり、ボンボネーラ着がキックオフギリギリになってしまった(TAXI 40ペソ)。

この時点で、スタジアム入りは半ば諦めていた。ダフ屋から買えるほどのアルゼンチン・ペソは用意できてなかったし、何より夕闇に包まれるボンボネーラ周辺が不気味でしょうがない。道ゆく人は、ボカのサポーターしかいないし、彼らもスタジアムに入りたくても入れないのだろう。家路に向かうのか、はたまたパブリック・ビューイング先に向かっているのか、寒空の中、ボカのパーカーのフードを頭からかぶり、数人で足早に歩いている姿にピリピリした殺気を感じる。なにせ警察の数が異様に多い。道路という道路をバリケードで塞ぎ、物々しさは半端ない。

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キックオフ時間を過ぎ、ぶらぶら周辺を歩いていると「チケットいらないか?」と声がかかった。オバマ大統領に似た、優しい物腰の男性。パッと見で、ローカルなボカのファンと判断。少し、気が緩む。提示価格はズバリ500ペソ。高くない。ホケットから出してきたチケットは手のひらサイズ。ホンモノかどうかサッパリ見分けがつかない。500ペソのキャッシュは持っていなかったので、「100米ドルで払うから釣り500ペソもらえないか」聞く。持ってない、と。この時点で双方とも交渉は決裂だったはず。

ところが、彼は諦めず両替できる店を探し始めた。1軒断られ、2軒目に向かう道すがら、通行人に両替できるか聞いている。道端で手早く100米ドルを1,000ペソに換えることができた(ヤミ両替なら00米ドルが1250ペソになるので両替してくれたおじさんは250ペソの丸儲け)。

無事にチケットを手にして、いそいそとゲートに向かう。

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途中、街中の売店に寄って買い物ついでに、このチケットはホンモノか店員に聞いてみる。「大丈夫」と。再び、歩き出す。バリケード前でチケットを見せながら「あっちだ」と、たらいまわし。

そうこうしているうちに、時刻は18時55分。キックオフから25分が過ぎてしまった。道すがら、ローカルな若者から声がかかる。鋭い眼光で睨まれつつ、スペイン語でおそらく「よそ者が簡単にスタジアム入れると思うなよ。お前の買ったのは偽物だ」。言葉は分からなかったけど、彼の挙動で、ああ偽物つかんでしまったかな、と。

ゾッとした。この時点で嫌な予感で全身が凍りつく。とりあえず、ゲートに急ぐ。ようやくたどりつき、バリケード入り口前で空港並みの厳しいボディチェック。あとは、チケットチェックを突破するだけだ。改札口のようなとこにチケットをかざせば開くはず。で、チケットを出して係員に提示してすぐ、「あっちへ行け」。ロクにチケットを見ずに、これはニセモノなので入れない」とつれない返事。何がどうダメなのか言葉もわからないので理解できず。あっさりしたもんだ。ああ、やはり噂は本当だったのだ。「ダフ屋のチケットは9割がニセモノ」「ソシオ会員しか入れない」。

翌日、現地代理店に聞いた状況は以下の通り。


やはり、ボカの試合は特別。スタジアム前のBARは、ポカのサポで溢れかえっていた。店の外にまでいる。窓枠に腰掛け、店内を覗き込んでいる。店内は殺気立ち、入店に尻込みしてしまうオーラがある。各々好き勝手にチャントを歌ったり、コールしたり。画面を観る目は真剣そのもの。

スタジアム周辺も含めて、これだけの空気感を作り上げるボカジュニアーズというクラブは、偽チケットをつかまされたとはいえ、サッカーファンとして敬意を表するしかない。むしろ、挨拶代わりにこのくらいの扱いをしてくれた方が無骨な「ザ・フットボール」の世界観を示してくれたようで「やってくれるじゃないか」と逆にせいせいする。

再来週がラストチャンス。必ずリベンジする。

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【了】